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新宿でナイジェリア人の作ったNFTを買った話

それは突然の出来事だった。

早朝、僕は新宿バスタのスタバにいた。7時の開店直後で人はまばらだった。9時のバスに乗るにはいくらか時間があった。

店員にシュガードーナツとグランデのアイスコーヒーを頼むと、サイズアップサービスでベンティサイズが出てきた。

僕の顔の長さにそっくりなロングサイズのコーヒーを出してくれたことに礼を言い、窓際の席に着いた。

忙しなく行き交う人々を横目に、ゆったりモーニングをとっている自分に少しだけ優越感を感じた。

Twitterを開くと、めずらしくDMが来ていた。見ると、最近フォローしてくれたNickというアカウントだった。
彼はナイジェリア人で、Akimの知り合いだった。

前日にNFTが売れて、そのお金でMacbookを買うことができたというツイートが話題になっていたのを見ていた。
それが彼だと気づいた。

DMには一言「Hello」とだけあった。

身知らぬ外人からこのようなDMをもらっても、たいていNFTを売りつけてこようとしているのかな、と警戒して相手にしないことが多い。

だが、その日は直前に彼に関するツイートを見ていたということもあり警戒心が薄れていた。
僕は自分から、「Akimのツイートを見ました。ベリロナーですか?」と質問をした。

Nickとのやりとり

その後、NickはこのNFTを見て欲しい、とOpenseaのURLを送ってきた。
絵の意味は分からないが、デザインや謎めいた構成にどこか惹かれるものがあった。

Nickが作成したNFT

https://opensea.io/assets/matic/0x2953399124f0cbb46d2cbacd8a89cf0599974963/50863013073466807490227429941215267448387846258339258163720777592526681931777/

久しぶりのNFT購入

NFTは0.02ETHと決して高くはなかったものの、忙しくて最近メタマスクを触っていなかったので、そもそも今の自分に買えるのかどうかさえわからなかった。

彼に確認するから待ってほしいと頼み、久しぶりにメタマスクを開いた。
彼は、やりとりの途中でナイジェリアに来るかい?と聞いてきた。僕は(いけるかはわからないが)もちろん!と答えた。

いくつかあるウォレットのETHを集めれば0.01ETHくらいなら払えそうなことがわかった。
Polygonだったので変換コストを予想するとそれが限界だった。

とりあえず正直に0.01ETHしか持っていないことを伝えた。
彼は0.01EThで良いから買ってほしいと言った。私は素直にこの絵に興味を持ったので喜んで買うことに決めた。

久しぶりにPolygonのNFTを買ったので少しドキドキしたが、1年ちょっと前にベリロンを買った時のことを思い出した。
ベリロンが出てからまだ一年前しか経っていないことに正直驚いた。

Nickは「もう夜遅いので寝るよ、買ってくれてありがとう」と言った。
そこでようやく、ナイジェリアは夜なんだと気づいた。調べると向うは深夜0時を回ったころだった。

man walking on street with milky way galaxy view photo

バスに乗り、Nickのツイートを探して、この絵についての説明を見つけた。

この絵は、ナイジェリアの若者が置かれている立場を表現した絵だったのだ。

children in white tank top sitting on brown wooden bench

ナイジェリアでは、4割の子供が初等教育にさえ行けていない。

人口2億人に達し近年経済成長を遂げつつあるアフリカの大国だが、まだまだ貧困から抜け出せない人が多くいるのだ。

彼はその原因は年老いた世代が支配し、若者を酷使するためだとNFTで表現していた。

2015年度やや古い記事だが、ナイジェリアの貧困に関する記事を掲載しておく

NFTを買って感じたこと

white clouds on blue sky

僕は都会の喧騒を離れ、長野県に向かうバスに揺られていた。目の前に入道雲と田畑が広がってきた。

green grass field

日本は確かに恵まれていると感じるが、深刻な少子高齢化に直面しており、決して明るい未来だけがあるとは限らない。

今回はNFTを買ったことで、ナイジェリアという異国の地に想いを馳せることができた。NFTの売買を通じて異国の若者の思考や表現に直接触れることができた。まさにデジタルデータの売買という資産性を介する行為だからこそ得られた経験である。

その日、僕にとって絶好のタイミングで奇跡的に声をかけてくれたNickと、自らナイジェリアへ赴きその機会を後押ししてくれたベリロン創始者のAkim氏には深く感謝したい。

gray concrete road between high rise buildings during daytime

やはりベリロンなどのNFTを通じたコミュニケーション、Web3.0は、まだまだ僕らに夢を見せてくれるに違いない。そう確信した週末だった。

ベリロンを買ってすぐ、2022年2月末に書いたブログの記事です↓(3月に一度更新しています)

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