ギターを始めて20年がたった。
ビートルズとか、ミスチルとかチューリップとか。
ロックやポップスを力の限り歌うことが俺の青春時代のただ一つの楽しみだった。
いつからだろう。
もっとうまく歌いたいと思うようになってしまったのは。
たぶんその時から、俺は俺でなくなってしまった。
自分の曲がなかなか作れなくて、人の歌ばかり歌っていたらカラオケだといわれた。
自分の曲ができないから、人の曲を歌うことも苦痛になった。
大人になるにつれ、誰かの声に耳を傾けなきゃいけないと、そう思うようになった。
昔は人の意見なんて一切聞かなかったのに、だんだん人の意見を聞くようになった。
その方が成長できると思ったからだ。
でもそれは8割以上間違っていた。
俺は俺の道を生きていると思い込んでいたがそうではなかった。
大人になるにつれ、いつからか他人の声に耳を傾けるようになっていた。
表面的には利口になったと思われるかもしれない。
でもそれは間違いだった。
他人のキーに合わせて歌う必要はない。
わかっていても、無意識に合わせてしまう自分に気づいた。
全て間違っていた。