woman in white long sleeve shirt and blue denim jeans standing beside white wooden framed glass

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【雑談回】ズボラ界の重鎮(自称)だった私が、なぜか掃除に目覚めてしまったワケ

「聞いて驚かないでほしいんだけど…あの俺、最近、掃除にハマってるんだよね

woman standing showing shocking face

友人にそう告げると、3秒ほどの沈黙の後、

「…え、どこのどなた様です?」

「ついに寒さで頭おかしくなったの…?」

と本気で心配される始末。無理もない。数ヶ月前の私を知る者なら、私の部屋は「カオスと混沌の最終形態」「もはや一種の現代アート」あるいは「未知の生態系が育まれていそうな秘境」と認識していたはずだ。

掃除?なにそれ美味しいの?私の辞書では「来客」という名の強制イベント、もしくは「床が見えなくなって、いよいよ生命の危機を感じた時」にのみ発動される、できれば避けたい苦行オブ苦行だったのだから。

そんな私が、なぜ。自分でも時々「私、誰かに乗っ取られた?」と鏡を二度見するレベルの変化だ。

すべての始まりは、我が家のラスボス、魔窟と化していたキッチンだった。

red and white Do Not Enter street sign

金欠だし、そろそろ自炊でも再開を…と思ったはいいが、キッチンの惨状たるや。シンクには「いつか洗う」という名の未来への遺物が堆積し、コンロ周りは油と謎の飛沫による抽象画が描かれ、換気扇に至っては「触らぬ神に祟りなし」の精神で見て見ぬフリを貫いていた。

ところが、、、

ある日、どうしてもパスタが食べたくなった。

しかし、清潔な鍋も、まともなフライパンも、もはや発掘作業なしには見つけられない。「ああもうっ!食べるためには、まず戦うしかないのか!」と、半ばヤケクソで、重い腰を上げた(というか、物理的に床から何かをどかさないとキッチンに立てなかった)。

persons hand with blue paint

ゴム手袋を装着し、洗剤を片手に、いざ開戦!油汚れという名の宿敵、シンクにこびりついた茶渋の古強者(つわもの)、得体の知れないネバつき…。それは掃除というより、もはや文明を取り戻すための聖戦だった。汗だくになりながら、ゴシゴシ、キュッキュ。一体何時間戦っただろうか。

そして、ついに、その瞬間は訪れた。

ステンレスのシンクが、この部屋に入居した時以来かもしれない輝きを取り戻したのだ。蛇口が、水垢ひとつなくピカピカに光っている。コンロの五徳も、本来の色を取り戻しているではないか!換気扇だって、ちゃんと仕事してくれそうな顔をしている!

white wooden kitchen cabinet with mirror

※画像はイメージです

その達成感たるや!エベレスト登頂?いや、それ以上かもしれない(登ったことないけど)。あまりの気持ちよさに、私はしばし、ピカピカになったキッチンを眺めて恍惚としていた。「…すごい。キッチンが光ってる…!」。視界がクリアになっただけでなく、心の中のモヤモヤまで洗い流されたような、とてつもない爽快感があった。

そして、気づいたのだ。

こんなに綺麗なキッチンなら、料理、するしかなくない…?

そう、あの魔窟キッチンでは、創作意欲どころか、お湯を沸かす気力さえ奪われていたのだ。しかし、光り輝くキッチンは、私の中の眠れる料理魂を呼び覚ました。「このピカピカのコンロで!」「この洗いやすいシンクがあれば!」と、次々に作りたいものが浮かんでくる。

その日、私は実に数ヶ月ぶりに、まともな(?)パスタを作り、その美味しさに感動した。自分で掃除したキッチンで作る料理は、格別だったのだ。

close up photo of pasta with toppings

※画像はイメージです

それ以来、私の掃除熱はキッチンから他の場所へと飛び火した。一度「綺麗」の快感を知ってしまうと、もう後戻りはできない。
もちろん、ズボラ魂が完全に消滅したわけではない。「面倒くさい」の悪魔は常に囁いてくるし、ソファでゴロゴロする誘惑は依然として強い。けれど、「あの快感のためなら…!」と、掃除用具を手に取るまでの時間が劇的に短くなった。

掃除は、もはや苦行ではない。最高の達成感と、美味しいご飯(自分で作る)をもたらしてくれる、最高のエンターテイメントなのだ。

まさかズボラ界の重鎮(自称)だった私が、掃除グッズの品揃えに詳しくなり、友人に洗剤を熱く語る日が来るとは…。人生、何がどう転ぶか、本当にわからないものである。次は、お風呂場の水垢ラスボスとの決戦だ!

…たぶん、明日あたりに。

  • この記事を書いた人

Daichi

大学で働きながら起業に向けて準備中。ディープテックスタートアップ、web3.0などに関する情報を中心に発信をしています。

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