大学におけるブロックチェーンを活用した学位授与システムの導入事例

ブロックチェーン技術を活用して学位や修了証明書を発行する大学が増えています。この技術により、証明書の改ざん防止や即時発行が可能となり、信頼性と利便性が向上されます。多くの大学がMITが構築したオープンソースのBlockcertsを利用しています。

グロービス経営大学院: 2019年7月から、日本語MBAプログラムの卒業生向けに、ブロックチェーン技術を活用したデジタル修了証明書の発行を開始しました。これは、文部科学省認可の学位を授与する教育機関として、日本初の取り組みです。

グロービス経営大学院創造と変革のMBA
千葉工業大学: 2022年8月、国内初の事例として、学修歴証明書をブロックチェーン技術を応用したNFTで発行しました。これにより、学生の学修歴や学びの成果を国際規格に準拠した形で証明することが可能となりました。
後述するMITなどでも利用されているBlockcertsというサービスを利用しています。

国内初！千葉工業大学で学修歴証明書をNFTで発行

マサチューセッツ工科大学（MIT）: 2017年6月、一部の修士課程修了者へブロックチェーン技術による修了証明書を授与する仕組みを構築し、2018年には全ての修了者へと拡大しました。スマートフォン用アプリ「Blockcerts Wallet」を通じて証明書を管理・検証できます。 CRYPTO TIMES
シンガポールのOpenCertsプロジェクト: 2019年、シンガポール政府は国家主導で学位証書をブロックチェーン上で発行する「OpenCerts」プロジェクトを開始しました。これにより、教育機関が卒業証書をブロックチェーン上に記録し、真正性を簡単に検証できる仕組みを提供しています。 Zenn

これらの取り組みにより、学位や修了証明書の信頼性が向上し、国際的な人材の流動性やデジタル社会における個人の学習履歴の管理がより円滑になることが期待されています。

Blockcertsについて

現在、ブロックチェーンによる学位証明書や修了証明書、専門資格証明書などのデジタル証明で最も利用されているのがBlockcerts というオープンソースのプロジェクトです。安全かつオープンに誰もが検証可能な証明書を発行することができます。

以下に、BlockcertsとBlockcerts Walletの関連性と機能を説明します。

プロジェクトの背景:
- マサチューセッツ工科大学（MIT）のメディアラボが主導し、2016年に発足しました。
- 学位証明や資格証明など、改ざん不可能なデジタル証明をブロックチェーン上で発行・管理するために設計されています。
主な特徴:
1. オープンソース:
  - 開発者や教育機関が自由に使用し、独自のブロックチェーン証明書システムを構築できます。
2. 互換性のある標準:
  - ブロックチェーン上でのデータ形式や検証プロセスが国際的に互換性を持つ設計。
3. 透明性と検証性:
  - 誰でも証明書の真正性を確認できるため、信頼性が向上します。
主な利用用途:
- 学位や修了証明書の発行
- 専門資格の認証
- トレーニングやスキルの証明

Blockcerts Walletとは:
- Blockcertsプロジェクトが提供する公式のモバイルアプリで、発行されたデジタル証明書を管理・保存・共有するためのツールです。
- 利用者は、自分の証明書をスマートフォン上に安全に保存し、必要に応じて第三者に共有できます。
機能と仕組み:
1. 証明書の保存:
  - ブロックチェーンに記録された証明書のコピーをウォレットに保存。
2. 検証機能:
3. 証明書の真正性をウォレット内で瞬時に検証。
  - ブロックチェーンのトランザクションを直接参照して信頼性を確保。
  - 共有機能:
    - 電子メールやQRコードを介して第三者と証明書を安全に共有可能。
関連性:
- Blockcerts Walletは、Blockcertsプロジェクトの一部であり、プロジェクトが目指す「安全で検証可能なデジタル証明書管理」の実現に不可欠なツールです。
- 教育機関や企業が発行した証明書を利用者が簡単に受け取り、検証できる仕組みを提供しています。